ソフトボールの歴史
ソフトボールの起源は諸説ありますが、12世紀~13世紀のイギリスのクリケットから発祥したという説やアメリカの野球から発祥した、などが代表例です。
そして日本にソフトボールが伝わったのは1921年です。ここから日本のソフトボールへの関心や昨今の発展へ繋がったことになります。
オリンピックの歴史
オリンピックの正式種目となったのは、1996年のアトランタオリンピックで女子のみの採用です。当時はアトランタオリンピックのみでの限定採用の予定でした。ですが、北京オリンピックまでの4大会連続で正式に競技として登録されていました。それはメダル有力候補の国々がアメリカ、オーストラリア、日本などの先進国であった為に当時の予想よりも盛り上がりがあったからではないかと推測されます。
メダルの成績も先進的な意味や人工的な意味でも大国のアメリカが連続でアトランタオリンピックからアテネオリンピックまで金メダルを獲るなどの快挙も背景にあります。
日本の活躍から競技除外へ
日本のソフトボールのオリンピック4大会の成績としては、アトランタオリンピックが4位入賞、シドニーオリンピックが銀メダル、アテネオリンピックが銅メダル、そして北京オリンピックでは悲願の金メダルを獲得しました。
しかし、日本のその喜びも束の間、北京オリンピック後のリオデジャネイロオリンピックでは正式種目から野球と共に外れてしまいました。それは当時の国際オリンピック委員会がオリンピックの肥大化に懸念を持った為です。肥大化してしまうと4年に一度とはいえ開催国への負担が増えてしまうことや、あらゆるスポーツの発展が目的の大会ですが日々未来化していくスポーツ界にすぐさま追いついていかなければいけないという重圧もあったからだと言えます。
又、ソフトボールに関してのみ言えることは、国際的な普及がまだ低く、スポーツが盛んな国では有名ですがなかなかそうもいってられない国や地域ではマイナースポーツである現状も挙げられました。
野球との類似性がある故に、どこが違うかも日本人の私たちも正直理解してない方々が多くいる中で、簡単に広めるのはまだ難しい状況です。そこをすくい取られてしまい、北京オリンピック以降は外れてしまったスポーツなのです。
北京オリンピックでの金メダル
どんなにマイナーな競技とはいえ、オリンピックに採用され、その試合を観て熱狂して楽しんだ人々がいることも事実です。私も北京オリンピックのソフトボールの決勝戦をテレビで観ておりました。
野球とはまた違った緊迫感や疾走感、そして何よりオリンピックの決勝戦で「相手は宿敵のアメリカ、未だ日本は流れは掴めず」などという実況や解説を聞いてしまうと目が離せませんでした。
最初から観入ってしまう、そんな試合で日本が金メダルまで獲ってしまって私は大泣きしてしまったのを今でも覚えております。私の観戦での一体験の話が入ってしまいましたが、それほどソフトボールは魅力的なスポーツです。
その試合観戦の後にソフトボールについて少し調べたところ、選手の方々の苦悩などもわかり余計に感動と共に応援したくなりました。そんなところへオリンピック競技からの除外を聞いて私以外にも落胆した方は多かったはずです。
2020で追加種目へ
北京オリンピックの後に正式種目から外れてしまったソフトボールが東京オリンピック2020で追加種目へと決定したことは、日本人なら誰しもがご存知かと思います。
では、どうして除外された4大会後のこの東京オリンピックでの採用なのか、その時の状況やこれからのオリンピック種目としてのソフトボールの展望について説明いたします。
まず、東京オリンピック2020でなぜ追加種目として選ばれたのか、最大の理由はオリンピック開催国の魅力を高める為にその国の要望する種目を国際オリンピック委員会へ提案出来るようになったことです。日本は北京オリンピックで金メダルを獲った後に2012年での世界選手権での優勝と2014年での2連覇を成し遂げています。しかし、それを知ってる日本人すら少ない状況になるほど、ソフトボールへの関心や認知度が急降下していました。
更に北京オリンピックで除外された種目として、日本ではとても人気のあるスポーツの野球の存在もあり、類似種目の2つの普及の為にも東京オリンピック開催が決まった際にどちらもオリンピック種目としての認定を願った人は多くいました。
それは何もスポーツ関係者や観戦ファンだけではありません。芸能界の俳優やモデル、芸人などの多くの著名人も尽力を尽くしたしたそうです。テレビのCMや雑誌などでの対談、そして何より世界へのアピールとして芸能界の方はソフトボールがまたオリンピックでの競技として認められる為に発信源となってくださったようです。
その多くの方の努力があり、国際オリンピック委員会は満場一致で追加種目にソフトボールと野球を選んでくださいました。
復興とソフトボール
この東京オリンピックまでにたくさんの大きな震災のあった日本なので、被災地が復興アピールなどとして開催地に選ばれていたりもしているのをご存知でしょうか?
その一つの代表例として、ソフトボールでは予選リーグが福島で開催(福島あづま球場)されます。
東日本大地震と原発事故の2つの痛手を負い、今でもなお被災から闘っている地元の方の為にもこの決定事項は直接被災をしていない私でも嬉しい事でした。
ルール・競技概要
オリンピックで金メダルを獲ったことのある「ソフトボール」。日本では人気のあるメジャーなスポーツのひとつでもあります。ソフトボールと似たスポーツでは「野球」があります。しかし、細かく見ていくと、ゲーム性自体は似ていますが、細かなルールは異なっています。ですので、ソフトボールのルールを説明していきたいと思います。
イニング
ソフトボールは「9人制」のチーム戦で、攻撃側と守備側を交互に行っていき、3回アウトになると攻守が入れ替わります。それを7回繰り返し、最終的に点数を多く取ったチームの勝ちになります。
攻撃と守備
攻撃側は、ダイヤモンド状に置かれたベースを通過しながら、点数の加算されるホームを目指します。守備側は、ホームを踏まれて点数を加算されないように、3回アウトを取るように守っていきます。この辺は「野球」と同じルールです。
ベース間の距離
ソフトボールのベースの距離が「約18m」で、野球は「約27m」なので、野球に比べるとソフトボールのベース距離感はかなり距離も短いです。距離が短い分、ボールを野球より大きいものを使用し、打ってもあまり飛ばないようになっています。
投球ルール
ソフトボールの投球ルールとしては、必ず打者に対して「下手投げ」しなければなりません。野球のように「マウンド」というものがソフトボールにはなく、その代わりにソフトボールの場合は、「ピッチャーサークル」があるので、ピッチャーサークル内で投球しなければなりません。
ダブルベースとは
ソフトボールの特有ルールとして、「ダブルベース」というものがあります。一塁のみに設けられているのですが、白色とオレンジ色のベースがくっついてあり、守備側は「白色のベース」を踏み、攻撃側の走者は「オレンジ色のベース」を踏まなければなりません。これは、打者走者と一塁手との接触を避けるために用いられている、ソフトボール特有のルールになります。
走者のリードについて
ソフトボールのリードに関して、「リードしてはいけません」。野球では、盗塁するために走者がリードを取るのですが、ソフトボールの場合は、先程も説明しましたが、「ベース間の距離が短い」ため、リードを取ることは禁止されています。しかし、ピッチャーが投げた後にベースを離れることは、OKとされています。なので、ソフトボールの場合は、走者のスタートを遅らせるためにするピッチャーの行動である「牽制」というものはありません。
選手交代について
ソフトボールの選手交代については、スターティングメンバーのみ、交代後に「一回だけ」復帰することができます。このことを「リエントリー制」と言います。そのため、ヒットを打った打者に代走を送って、守備の時にまた選手が戻っているということがよくあります。
テンポラリーランナーとは
「テンポラリーランナー」は、試合のスピードアップを図るためにできたルールで、捕手が自分の身を守るのに、レガースやプラテクタを装着するのに時間がかかるため、ツーアウトであれば、攻撃側のチームがそのまま「捕手が走者」か「テンポラリーランナーに交代」かを選択することができます。
ルール・競技概要まとめ
ソフトボールは、大きなボールを使うため、ピッチャーから繰り出される体感速度は、野球に比べ「早く」感じます。ソフトボールで投球速度が「100キロ」出ているとしたら、野球では「150キロ以上」の体感速度になると言われています。150キロを打っている野球選手でも「速い」と言うくらいなのですから、よほどソフトボールの体感速度は速いでしょう。
説明したソフトボールのルールを頭に入れながら、試合を見てみると面白さが倍増しますので、是非ソフトボールのルールを学んでから、東京オリンピックのソフトボールを観戦してみてください。
まとめ
来年日本でオリンピックが行われる事に未だに実感の湧かない私ですが、日々の報道を得ることで心は少しずつ踊ります。
ソフトボールだけではないとは思いますが、日本の女子スポーツ選手の生活の大変さや苦悩を知った上で序盤に述べた日本女子ソフトボール界の苦しみがあるからこそ、またオリンピックでの観戦が出来ること、更には直接福島や横浜へは行けなくても同じ日本で行われてるという親近感を感じられるのはとても嬉しいことだと私は感じております。
今回この東京オリンピックでの追加種目に選ばれたソフトボールは今までの強豪国以外の国や地域からも注目度が上がってきています。これを考えるとオリンピックという大会への世界の関心の高さが分かります。
実は東京オリンピックの次のロンドンオリンピックでは野球はもう正式種目からの除外がまた決まってしまっています。しかし、まだソフトボールは決定されていません。どうかソフトボールだけはこのまま少しの間でもまた続けて種目認定されていて欲しいと願っている方は私以外にもたくさんいらっしゃるはずです。
その為にも東京オリンピック自体もそうなのですが、ソフトボールというスポーツをどこまで盛り上げられるかは私たち日本人に1番掛かってきているのではないかと私は思っております。
日本ならではのソフトボールの歴史も踏まえてこの東京オリンピックで発信することにより、種目自体の発展や他にも経済利益、震災復興などの多くの希望が見えてきます。