人馬共に戦う馬術。華麗なる演技と日本人の活躍を今から期待

馬術 競技種目

馬術競技と聞いて、どのような競技か正確に説明できる方は少ないのではないのでしょうか。
「燕尾服のようなジャケットを着て馬に乗って、障害物を越えたり走ったりする競技」というイメージ、あるいは、「馬術や乗馬というだけで、なんだかお金持ちがやるスポーツ」というイメージもあるかもしれませんね。しかしながら、馬術は古くからオリンピックの正式競技であり、特にヨーロッパでは、乗馬は歴史のある、親しまれたスポーツでもあるのです。そこで、過去のオリンピック競技における馬術の歴史を振り返ってみたいと思います。

競技としての歴史

上で述べたように、オリンピックの競技としての馬術は古く、最初に実施されたのは、1900年のパリで開催されたオリンピックです。なんと100年以上の歴史があるのです。
ちなみに、このパリオリンピックで実施されたその他の競技は、陸上競技、水泳競技、サッカー、テニス、ボート、体操、セーリング、自転車、フェンシング、射撃、アーチェリー、バスクペロタ、ゴルフ、ポロ、クリケット、クロッケー、ラグビー、綱引です。陸上や水泳、サッカーやテニス、体操、ゴルフなど、現在ではすっかりポピュラーな競技もありますが、それらと並んで現在まで実施されてるということは、馬術も根強い人気のあるスポーツだということがわかります。
ただし、その後の1904年のセントルイス、1908年のロンドンでは馬術は行われませんでした。これは、パリオリンピックで行われた競技は「乗馬走り幅跳び」と「乗馬走高跳び」だったのですが、多くの競技者が落馬し、危険性が高いということで、実施されなくなったということのようです。しかし、1912年のストックホルムで、「障害飛越」、「馬場馬術」、「総合馬術」の競技として再開され、現在に至っています。

ヨーロッパでの歴史

ヨーロッパでの歴史
これまでのオリンピックでのメダリストとしては、ほとんどヨーロッパ勢の選手で占められています。これは、馬術がヨーロッパで長い歴史を持っている背景に深く関係しているためでしょう。
ヨーロッパの馬術の歴史としては、16世紀末に馬術学校が開設され、18世紀には調教方法などが発展して、近代馬術が確立していきます。19世紀に入り、1866年にはフランスで馬術の競技会が行われた記録があります。

日本での歴史

日本人が初めてオリンピックの馬術競技に参加したのは、1928年アムステルダム大会です。
馬場馬術には、岡田小七選手と遊佐幸平選手が参加、それぞれ20位、28位という結果でした。障害飛越には、吉田重友選手が参加しますが残念ながら失権、総合馬術には、城戸俊三選手が参加し21位という結果でした。

西竹一選手の活躍

しかしながら、次の1932年のロサンゼルスオリンピックでは、障害飛越で、西竹一選手がウラヌス号とともに、金メダルを獲得しています。
西竹一選手は、1902年7月12日、西徳二郎男爵の三男として生まれ、10歳のときに父親が亡くなり、巨額の遺産と爵位を相続しました。その後、陸軍幼年学校に入学し、3年のときに馬術を始めます。
金メダルを共に獲得したウラヌス号との出会いは、1930年3月、その後の1932年のロサンゼルスオリンピックに一緒に参加した今村安少佐が、イタリアに留学した時に先に出会ったのがきっかけです。ウラヌス号は大柄で荒々しいじゃじゃ馬だったそうで、今村安少佐からこの馬のことを聞いた西選手はイタリアに渡り、一目見てウラヌス号を気に入り、なんと自費で購入したそうです。
ロサンゼルスオリンピックで、金メダルを獲得した西選手とウラヌス号は、次の1936年ベルリンオリンピックでもメダルを期待されますが、ウラヌス号で出た障害飛越が20位、アスコット号で出た総合馬術で12位と、その結果はあまり芳しいものではありませんでした。

その後、1948年のロンドン、1956年のメルボルン、1980年のモスクワ(モスクワオリンピックには、日本自体が不参加)を除いて、日本は馬術競技に参加しています。

法華津寛選手

西選手の他に話題になった日本人選手としては、2012年のロンドンオリンピックに参加した、法華津寛選手です。71歳という年齢で馬場馬術に出場し、当時、ニュースなどでも放送されました。

杉谷泰造選手

連続出場した選手としては、障害飛越の杉谷泰造という選手がいます。20歳のときに1996年のアトランタオリンピックに出場、36歳の2016年のリオオリンピックまで6大会連続出場しています。このように、日本選手も活躍しているのですが、入賞やメダルとなると、やはりヨーロッパの壁が厚いのが現状です。

馬術の期待度・展望を考察

馬術の期待度・展望を考察
冒頭に述べたように、一般の日本人にとって、オリンピックの馬術競技は、あまり馴染み深いものではないかもしれません。どんな種目があるのか、何を基準に勝ち負けが決まるのか、ルールもわからないから仕方ないでしょう。
そんな馬術競技は、東京オリンピックでの全種目において、人気はどのくらいなのでしょうか。人気の度合いがわかれば、東京オリンピックにおける、馬術の期待度、展望などにもつながるのではないでしょうか。

競技チケットの価格で判断

人気の度合いをどうやって判断するかはむずかしいですが、ひとつの指標として、東京オリンピックのチケットの価格が考えられると思います。
競技チケットの価格がどのようにして決定されるのかは公表されていないので、確実とはいえないかもしれませんが、人気のある競技のチケットは往々にして高額であることを考えると、目安にはなるといえるでしょう。
競技チケットの価格の比較として、A席で決勝戦などの最も高額のチケットの価格ごとに、ざっくりグループ分けしてみました。

67,500円~130,000円の競技

最も高価な競技のグループは、陸上、水泳(競泳)、バスケットボール、体操、サッカーなどで、大体67,500円から130,000円です。

36,000円~54,000円の競技

次に続くのが、水泳(アーティスティックスイミング)、卓球、バドミントン、野球、体操(新体操)、柔道、テニス、ビーチバレー、バレーボール、レスリングで、36,000円から54,000円です。

20,000円~30,500円の競技

その次が、水泳(飛び込み)、ハンドボール、ラグビー、ソフトボールで、20,000円から30,500円です。

11,500円~18,000円の競技

さらにその次が、水泳(水球)、自転車競技(BMXレーシング)、自転車競技(トラック)、フェンシング、体操(トランポリン)、空手、3×3バスケットボール、スケートボード、スポーツクライミング、ウエイトリフティングで、11,500円から18,000円です。

馬術は16,000円

馬術(馬場馬術)(総合馬術)(障害馬術)もここに属し、価格は16,000円です。

最も安いグループは、残りの競技になるのですが、4,000円から10,000円です。
あくまで、おおまかな価格帯ごとのグルーピングですが、5つの価格帯のうち、馬術は4つ目のグループで、その中の価格帯の11,500円から18,000円のうち、16,000円と高額の方に位置しています。もちろん、価格が高くても、人気がなければチケットは売れ残っているかもしれませんし、チケットの価格の決定には色々な要素が考えられます。ですが、あくまで価格だけで考えてみると、乗馬は一見認知度の低い競技と思いきや、それなりに人気のある競技と言えなくもないかもしれません。

馬術の有望選手にはどんな日本人が?

日の丸JAPAN
馬術競技でどの程度日本人の選手が入賞やメダルが期待できるか考えてみます。馬術の有望選手としては、どんな日本人選手がいるのでしょうか?

杉谷泰造選手

一人目は、前述した杉谷泰造選手です。20歳の1996年のアトランタオリンピックに始まり、36歳で前回の2016年のリオオリンピックまで6大会連続出場しており、2020年の東京オリンピックでも代表が期待されています。祖父、父と3代に渡って、馬術の日本代表選手で、現在はドイツを拠点に活動を続けています。
過去の主な成績は、2018年のインドネシアアジア大会団体で銀メダル、2014年の仁川アジア大会個人・団体での銅メダルなどがあります。

林伸伍選手

二人目は、林伸伍選手です。2006年、明治大学4年生のときに馬場馬術の学生チャンピオンになります。
卒業後はアイリッシュアラン乗馬学校のインストラクターとして指導する一方、定期的にドイツでもトレーニングも受け、東京オリンピックを目指しているそうです。過去の主な成績は、2018年、トライオン世界馬術選手権出場、2014年、2016年、2018年に全日本馬場馬術選手権優勝、2014年の仁川アジア大会団体銀メダル、2018年世界馬術選手権日本代表などがあります。

大岩義明選手

3人目は、総合馬術の大岩義明選手です。大岩選手は、北京、ロンドン、リオとオリンピックに3大会連続して出場しています。また、2017年には総合馬術競技の世界最高峰とも言われるバドミントン・ホーストライアルズという大会で、8位に入賞しています。さらに、2018年のインドネシアアジア競技大会では、総合馬術で個人・団体で金メダルを獲得、世界馬術選手権では戦後最高の団体4位になっています。

ルール・競技概要

ルール・競技概要
馬術のルールは馬だけを走らせるのではなく、馬の上に人が乗り人と馬と協力して馬を走らせる競技です。馬術をもう少し細かく分けると、馬場馬術、障害馬術、総合馬術の3つの馬術があります。

馬場馬術

馬場馬術とは馬をきれいに走らせる競技です。馬をきれいに走らせるとはどういうことかというと、きれいに走らせる競技の2つのうち1つは音楽が流れるので、音楽に合わせて馬を走らせます。音楽に合った動きが出来ているかどうかがチェックポイントになります。
もう1つの方は歩数や歩度の規定があり、この規定に合わせて動かす競技です。歩数が定められているのは基本競技、音楽に合わせて動く方も基本競技ですが、音楽に合わせて動く方が自由性があります。また馬場馬術には普通の今説明した馬術と上級馬場馬術があり、上級馬場馬術の方が規定が厳しく、馬が8歳以上という厳しい規定があります。

障害馬術

障害馬術とは障害者のことではなく、障害競走の障害を意味します。普通に人が障害競走をした場合、ハードルがあったり罠がありリレーが速くてもゴールに導けるかどうか別物の競争になります。これと同じように障害馬術も馬が困難な障害物を設置し、障害物を通り抜けて移動する競技です。もちろん人も乗せながら移動するため、高度な技や考えがないと進まないようになっています。
リレーの到着順も多少は考えられていますが、障害物を落とした数や減点方式でも点数を計算します。ですので人が馬から落ちると減点の対象になります。馬は言うことをよく聞く馬と反抗心の強い馬もいるから、馬の気持ちや心理状態、練習も必要です。反抗も減点の対象になりますが、コースのルールに従っていない馬も減点の対象に含まれます。

総合馬術

総合馬術とは馬術の競技を3つ行って審査する競技です。
1日目は先ほど説明した馬場馬術、1日目の馬場馬術で終わらず2日目にはクロスカントリー、3日目は先ほど説明した障害馬術をします。馬場馬術と障害馬術だけでも大変ですが、2日目にクロスカントリーも行うため、馬をいかに休ませるかも重要になってきます。

総合馬術のクロスカントリー

総合馬術のクロスカントリーとは、通常のコースだけではなく地面が凸凹しているところや草があって進みにくい場所も含めながら馬と人が一緒になってコースを走ります。もちろんクロスカントリーでも馬が休んでしまうとゴールに遅れてしまうし、暴れてしまうとそれだけ減点になります。

クロスカントリーと障害馬術

クロスカントリーと障害馬術は馬の心理状態も追い詰められる競技ですので人間が元気があっても馬の調子がよくないと進まない競技です。全てのコースは東京都江東区の海の森公園で行われます。

服装

上は燕尾服、ひらがなでえんびふくと言い、乗馬専用の洋服になります。色も決まっており、黒あるいは濃紺のどちらかに指定されています。ズボンは白のキュロットを着用します。
キュロットとは昔女性が履いたキュロットスカートが流行りましたが、このキュロットがズボンになったものを言います。これに加えてネクタイと手袋をし、乗馬用のブーツを履きます。用意するものや指定された着るものは多いです。

点数

点数は10点が満点で、細かく1つずつ採点します。減点方式により点数が上がっても点数が下がる可能性は多々あります。点数を多く勝ち取ることも必要ですが、いかに減点されないように馬術をするかも重要な役割をします。

まとめ

まとめ
日本ではあまり知られていない馬術競技ですが、このように日本人選手も活躍しています。特に、最後の大岩選手は日本人選手の中で、最も入賞、メダルに近い選手ですので、メダルを獲得することになったら、馬術競技の知名度や人気も一気に上昇するかもしれません。東京オリンピックでの日本人選手の活躍に大いに期待したいものです。

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