2020野球の期待と野球競技の立ち位置・歴史とこれからに向けて

野球 競技種目

過去のオリンピック競技での「野球」の歴史

オリンピックの野球の歴史といえば、日本では多くの人が1984年のロサンゼルスオリンピックを思い浮かべる人が多いです。そして正式種目になった1992年のバルセロナオリンピックでの日本代表の激闘を覚えていらっしゃる方も多くいます。
しかし、公開競技としての野球の歴史は古く前回の1964年の東京五輪でも採用されています。東洋の魔女と言われた女子バレーボール、アントン・ヘーシンク氏に神永昭夫氏が敗れ全国民が涙を流したと言われる柔道無差別級、遠藤幸雄を中心に体操ニッポンを体現した体操などいまも語り継がれる競技が多いのに対してマスメディアに取り上げられる機会が少ないのは事実です。
これは東京五輪では1964年10月11日に1日限りの日程で行われ、アメリカ大学選抜がダブルヘッダーで全日本大学選抜及び全日本社会人選抜との対戦しか開催されなかったことも大きいのです。

五輪の野球競技の歴史

野球の歴史
五輪の野球競技の歴史は意外にも古く1904年のセントルイスオリンピックで初めて公開競技として採用されています。
『アメリカ球界最大の巨人の1人』であるベーブ・ルースはまだこの時9歳であり、ファウルストライク制度もようやくナショナル、アメリカン両リーグで導入されたばかりの時期での開催、競技としての性質もまだ紆余曲折ある時期での開催だったと言えます。
その後1912年のストックホルムオリンピック、1936年のベルリンオリンピックで野球は公開競技として採用されています。
1952年のフィンランドでのヘルシンキオリンピックではローカルスポーツとして1922年にできた野球がフィンランドで変貌を遂げたペサロッパが公開競技として採用されています。
1956年のメルボルンオリンピック、前述した1964年の東京オリンピック、1984年のロサンゼルスオリンピック、1988年のソウルオリンピックと公開競技が続きました。

正式採用から競技除外まで

1992年のバルセロナオリンピックから正式種目として採用され、2008年の北京オリンピックまでの5大会続けて公式種目として採用されていましたが、2012年のロンドンオリンピックから正式種目から外れ、2016年のリオデジャネイロオリンピックも同様に実施種目から外れています。
2020年の東京オリンピックでは追加種目として採用されたものの2024年のパリオリンピックからは追加種目からも外されたのが現状です。

五輪の野球の現状

オリンピック
オリンピックでは現状野球は不人気種目だというのが現状です。
膨れ上がった競技種目数の増加と参加人数を絞りたい運営側の思惑もありますが、野球が普及している国が少なく、わざわざオリンピックのためにスタジアムを建設しなくてはならないこと、開催終了後は使い道がなくなることがあげられます。
実際正式種目として野球が採用された都市のスタジアムはアテネ、北京で完全に解体され更地になっています。
チケットの売り上げ数も伸びず、スタジアムの動員率も悪いのは大きな要因でもありました。
またMLBの選手がオリンピック参加に積極的ではないことも一因とされます。
日本、韓国、台湾、中南米出身のメジャーリーガーは比較的参加には積極的ではありますが、シーズン中に開催されるオリンピックに参加することはポジションを失う行為でもあります。
怪我のリスク、所属チームがプレーオフ進出に佳境の夏場以降での開催になる部分は大きいのです。

日本のオリンピックでの成績

初めてナショナルチーム同士での対戦形式となった1984年ロサンゼルス大会ではその後ヤクルトの顔として活躍した広沢克己氏の決勝3ランが有名で金メダルを獲得しました。
しかしそれ以降はソウル大会では銀メダルを獲得したものの、正式種目になってからは国民の期待を大きく裏切る形で銀1銅2の成績しかし残せていないのが事実です。
五輪での野球の扱いは高くないのが現状です。
普及、人気度が高くなく建設費用のかかるスタジアムとその後の処理がネックになっています。
ガーナやブルキナファソで日本の支援で野球大会が開催されたように、今後正式種目に復帰するにはやはり地道な普及活動が重要です。

東京オリンピック2020「野球」日本代表展望

日の丸JAPAN
来年の野球競技の展望ですが、やはり焦点は開催地日本の金メダルが獲得できるか否かにつきます。
2012年ロンドン大会、2016年リオデジャネイロ大会と正式種目から除外されたことでNBLは危機感を持っている事実があります。
国内のトップ選手がこぞってMBLに参加し、NPBは野球人気が低迷、巨人戦の地上波放送回数も減っているだけに、可能な限りでの最強編成を組んでくるでしょう。
現役のメジャーリーガーが参加できるかは微妙ですが、7月29日~8月8日までの短期集中開催になること、それにつき直前に合流する形であれば、エンゼルスの大谷、ドジャースの菊池といった有力投手の参加の期待も可能性としてはあります。
投内連係プレーの練習は必要なものの、団体競技のなかでは、サッカー、バレーボールほどの連係プレーの重要性は低く、長期事前合宿や練習試合は少ないですから、選手の意思とメジャー側との拘束期間との折り合い次第で最強の『侍ジャパン』が編成できる可能性は多いにあります。

猿でも分かる野球のルール・競技概要

野球のルール
野球には細かいルールや戦略が様々あります。ここでは初心者でも理解してオリンピックでも楽しめるように大まかなルールを説明していきます。

野球のルール

野球は、球技場で行われる集団球技のスポーツです。日本では野球と言いますが、米国では「ベースボール」と言っています。
2つのチームが、攻撃と守備を交代しながら勝敗を競う競技で、攻撃と守備の交代を9回繰り返して、得点が多くしているチームの方が勝ちになります。
最終的に両チームの得点が同じだった場合は、延長戦を行うか、引き分けとします。試合に出場できる選手は、各チームで「9人」まででその他に控え選手や監督・コーチでチームは編成されています。控え選手の交代はいつでもできますが、一度退いた選手に関してはその試合では再出場することはできません。しかし、選手を交代をせずに、守備のポジションを動かすことはできます。また、両チームはあらかじめ9人の攻撃時の打順と守備時のポジションを決定しておかなければなりません。守備側のチームがポジションにつき、打者がバッターボックスに入り、球審が「プレイボール」を宣言すると試合が始まります。

守備について

守備
守備側のポジションとして、投手(ピッチャー)、捕手(キャッチャー)と呼ばれているバッテリー。一塁手(ファースト)、二塁手(セカンド)、三塁手(サード)、遊撃手(ショート)と呼ばれているのが内野手、左翼手(レフト)、中堅手(センター)、右翼手(ライト)と呼ばれている外野手と分類されています。
守備側は、相手のチームの打者や走者を本塁までにアウトにしなければなりません。三振でのアウトの他にも、打球がグランドに落ちるまでに守備側の誰かが捕る、守備側の誰かが打者や走者よりも先に塁を触れるなどで打者、走者をアウトにすることができます。攻撃側のチームを3人アウトにすることができれば、「スリーアウト」となり、攻撃側と守備側が交代することになります。

攻撃について

バッター
攻撃時は、打順通りの順番でバッターボックスに入り、守備側の投手が投げるボールを打っていきます。一塁、ニ塁、三塁、本塁を周ってくることができれば、得点が入ります。
また、打者が100m以上先の指定されたホームランゾーンに打球をノーバンで運ぶことができれば、「ホームラン」となり、本塁まで一気に周ってくることができます。投手が投げたボールを打者が打てなかった場合や打たなかった場合は、球審により「ストライク」か「ボール」が宣告されます。
打者が一度の打席で三度のストライクを球審から宣告されると「三振」となり、アウトとなり次の打者に交代をします。4度のボールを宣告されることを「フォアボール」と言い、打者は一塁へ行くことができます。

野球に必要な道具

野球を行うにあたって、様々な道具が必要になってきます。投手が投げる「ボール」や打者が打つ「バット」、守備が守る時に必要な「グローブ」「ミット」、走る時に必要な「スパイクシューズ」などが代表的な野球に必要な道具です。
同じチームの選手や監督、コーチなど競技に参加する人たちは、同色、同形のユニフォームと帽子を着用しなければなりせん。原則としてユニフォームには、選手はもちろんのこと監督やコーチなど全員「背番号」をつけなければなりません。

参加チームは厳選6チーム、トーナメント方式はページ方式

トーナメント
東京オリンピック2020の参加チームは開催地チームの日本以外は5チームとなります。そしてトーナメント方式がいわゆるソフトボールで有名になりましたページ方式を採用しているのが特徴です。
3チームずつの予選リーグに別れて戦いますが、予選リーグでの敗退がページ方式ではないです。このため仮に予選で連敗しても決勝トーナメントの初戦で負けなければ、まだトーナメント決勝へ残る可能性を残します。短期集中決戦かつパラマストーナメントとダブルイリミネーションマッチを組み合わせたページ方式だけに強いだけではなく運に恵まれたチームが勝つと言えます。

オリンピックまでの予選展望

  • 2019WBSCプレミア上位2チーム(2019年秋)
  • アフリカ/欧州予選上位1チーム(2019年9月)
  • アメリカ予選上位1チーム(2020年3月)
  • 最終予選上位1チーム(2020年4月・5月)

アメリカ大陸野球連盟『COPABE』によるアメリカ予選が最大の注目になるのは間違いないところです。
アメリカ、キューバ、メキシコ、ベネズエラ、カナダ、プエルトリコ、ドミニカ共和国のいわゆるプレミア12のチーム中7チームがひしめきあいます。
2019WBSCプレミアと最終予選を考慮しても『COPABE』所属の3チームは確実に予選敗退が決定します。
メジャーリーグ開幕直前の開催時期、そして五輪への積極的選手派遣を行わないことを考慮すると米国ですら、予選敗退があり得ます。

アフリカ/欧州予選上位1チーム(2019年9月)

正直ここはオランダの独壇場で圧倒的強さで勝ち上がるでしょう。選手の質、量は抜けておりメジャーリーガーで参加選手が抜けても恐らく追随は得ないです。
プロリーグのあるイタリアや恐らくアフリカ選手権の王者になるであろう南アフリカ、そして東京五輪西アフリカ予選で旋風を巻き起こしたブルキナファソもいますが、波乱は考えにくいです。

2019WBSCプレミア上位2チーム

韓国や台湾はここに全力をかけてくるでしょう。
MLB、NPBともに優勝、プレーオフ進出争いが佳境なだけに選手の派遣の可否も注目を集めます。

最終予選上位1チーム

文字通りの最後の1チームの争いです。
『COPABE』の出場権未獲得チームを中心に最終予選は苛烈な試合になると思われます。

予選展望のまとめ

東京五輪はトーナメント方式ページ方式で行われるだけにどこのチームが制しても全く不思議ではないと言えます。三敗しても要所で勝てば優勝できるシステムです。
横浜スタジアムがほぼメイン会場になりますので、湿度、そして雨が降った場合には人工芝球場ゆえのサウナのような蒸し暑さが発生します。それゆえにコンディショニング管理、暑熱対策が重要になってきます。球場の人工芝の特性やコンディション面で日本がホームのアドバンテージを活かせるかが勝負の分かれ道になります。

タイトルとURLをコピーしました