歴史から紐解くプロ参入の歴史と東京五輪の成功への願い

プロ参入の歴史と東京五輪の成功への願い プロリーグの対応

アマチュア五輪からプロ参入の歴史

オリンピックがアマチュアの祭典だと刷り込まれたのは、1914年の『オリンピック憲章』によりアマチュア規定が定められたことが発端といえます。
近代五輪の父『ピエール・ド・クーベルタン』が提唱したもので

『オリンピックの出場者は、スポーツによる金銭的な報酬を受けるべきではない』
ウィキペディアより

とする考え方が大元でした。
この伝統はIOC会長の『アベリー・ブランデージ』が退任する1972年までは長らく国際オリンピック委員会での主流派の考えとして据えられていたのです。
6代目のIOC会長に就任した『3代キラニン男爵マイケル・モリス』が就任して1974年にアマチュア規定は削除されます。

あくまでもスポーツやスポーツ競技における付加価値、金銭へ代替する行為を避けたいクーベルタンの主張、主義を支持するのはスポーツ界の現状を知らない理想派の考え方でした。
技術や方法論を『金』に変えることで、より技術や意識の向上を図り、普及していきたい各競技、ひいてはスポーツ界の現場の考え方でした。
この意識の乖離が大きくなったことが、アマチュア規定の削除に繋がったといえるでしょう。
それから各競技に置いて段階が踏まれ、各協議の国際連盟によって、プロ選手の参加が認められることになりました。

しかし実際には1976モントリオール、1980モスクワでは積極的なプロ選手の参加は各競技少なかったのです。
この2つのオリンピックが興行的に失敗して、『フアン・アントニオ・サマランチ』が会長に就任したことが最大の転機だったといえます。

オリンピック商業化の歴史

オリンピック商業化の歴史
実はオリンピック規定からアマチュア規定が撤廃されたのはロサンゼルスオリンピックからではなく、1974年のことでした。

商業化の加速は1976年のモントリオールオリンピックの興行的失敗、同様に1980年のモスクワオリンピックが西側諸国のボイコットによってまたもや失敗に終わったことです。
競技種目の拡大により、開催都市における財政負担、赤字額も大きくなり、オリンピックを開催イコール赤字を背負う認識が1970年代は強かったのです。

これを払拭したのが1980年の『フアン・アントニオ・サマランチ』のIOC会長と同年のロサンゼルスオリンピック大会組織委員長に就任した『ピーター・ユベロス』の存在でした。

やり手のビジネスマンであり、トランス・インターナショナル社を全米2位の旅行会社に育てあげたユベロスは次々に大胆な施策を打ち出しました。
放映権を一発入札にしたことで、談合ができなくなり、独占契約を求め入札額は高騰しました。
またスポンサー契約は1業種につき1社に限定にすることで、各企業へのメリット、宣伝、イメージ効果大きくする代わりとして、協賛金の下限を400万ドルに設定しました。
五輪のマスコットもモスクワのミーシャやモントリオールのアミックと違い、『イーグルサム』は大々的にメディアミクスされ、各種媒体に積極的に参加、商品化されていきました。
また経費も徹底的に削減し、開催都市に莫大な負担をかける競技場の新設を抑え、1932年の前回ロスオリンピックの競技場を改装、選手村はUCLAなどの大学寮で賄い、ボランティア5000人を導入していきました。
この結果赤字垂れ流しの状態だった五輪で2億ドルの黒字をもたらしました。
このロサンゼルスオリンピックの成功で商業化の波が押し寄せるとともに、開催都市の大会組織委員会は『ロサンゼルス方式』として踏襲され、現在に至ります。

各プロ競技団体のオリンピック参入の歴史

基本的に段階的に各競技の国際競技連盟『international federation』に一任されてきましたが、これは建前上のことになります。
また1980年時点では東側諸国の選手はいわゆるステートアマの状態が大きかったこともあります。
そして是が非でもオリンピックの商業化でプロ選手を参加させたいのは、世界で一番人気のあるスポーツであるサッカーでした。
FIFAはサッカーのワールドカップを競技の最頂点の大会であることは譲る気はありませんでした。
『オリンピックはサッカーが無ければ困るのだろうが、サッカーはオリンピックから除外してもらっても構わない』状態になりますが、サマランチ会長は地元スペインでのバルセロナ五輪を成功させたいために躍起になり、奔走します。
No.2であるバスケットボールに関しては1988年にアメリカがソ連に完敗したことによるアメリカ国内の世論による部分が多きくありました。
冬季五輪のNo.1スポーツでオリンピックの花形競技『アイスホッケー』では1998年の長野オリンピックからプロ選手の参加が解禁されています。
ウインターブレイクならぬ、オリンピックブレイクを設け、現役最強のNHLの選手が参加できるように考慮されています。
各国際競技連盟に一任されているのは建前であり、ワールドスポーツ、興行的に収支の見込める競技については積極的にIOCが働きかけていると言えます。
近年一番最後にプロの参加が認められたボクシングですが、もっともプロとアマチュアの試合形式の違う競技ゆえの側面が強く、プロ選手はオリンピック用の練習をある程度の期間こなす必要があるため積極的ではないのが一般的です。

各種組織大会が取り込んだロサンゼルス方式のボランティアシステム

ボランティアシステム
ロサンゼルス大会でピーター・ユベロスが導入したボランティアによる運営コストの削減は、それだけにはとどまらず『ロサンゼルス方式』として、オリンピック以外の各競技の世界選手権やワールドカップに取り入れらています。またオリンピックが黒字化したことにより、世界中にオリンピックは儲かると認識が広がり、立候補都市は増えていきました。
オリンピックのステータスシンボルとしての魅力が向上し、積極的にボランティアに参加する人が増加していきます。
現在では日本のJリーグやBJリーグでも地域密着型スポーツの一つのスタイルとして確立されているボランティアですが、この原点は『ロサンゼルスオリンピック』だと言えます。

国家威信からやはり金?ドーピング問題

ドーピング
ドーピング問題はもともと東側諸国のスポーツを通じての国家威信の高揚手段として使われてきました。
しかし『ロサンゼルス方式』五輪の商業化に伴い、プロ競技以外でも賞金付きのオープン大会が増えていきます。
莫大な金額も絡むために、薬物に手を染める選手も多く、ドーピングの精度の低かった時代、1980年代のオリンピック、メダリストには今なお疑念を抱かれている選手もいます。

商業化で気軽に使えなくなった『オリンピック』のフレーズ

商業化における権利問題は、知的財産権についての厳格化が厳しくとりざされていますが、東京オリンピックでもまた同様に厳しく管理されています。
オリンピックに関する知的財産は、日本国内では『商標法』や話題にも昨今あがっている『著作権法』等により保護されています。
これにより開催都市でも気軽に商業施設などで、自作のポスターを作ったり、オリンピックで盛り上がると事は厳しくなり、地元無視などと話題にのぼることも多くなっています。

選手の総プロ化に伴い五輪もメーカーの見本市に?

昨今は純粋たるプロでなくてもスポンサーを募る競技が増えています。その方法も様々で単純に個人でスポンサーを募るものから、世界中を跨いだクラウドファンディング等もその一つといえます。
企業スポーツが崩壊したとは言われていますが、様々なスポンサーが支援する機会も多く、実質プロ的な選手も多いと言えます。
2020東京五輪で注目したいのは「プロとはなんぞや、アマチュアとはなんぞや」という観点です。
現在では前述した通りに各競技の有力、人気選手にはスポンサーがついています。
陸上競技や水泳競技にも、『NIKE』や『adidas』、『new balance』といった大手スポーツメーカーからスポンサードされている選手が多いです。
それは勿論メーカーの顔としての契約から、シューズやキャップ、ウォームアップジャケットまで様々です。特に同一競技で有力選手を寡占している競技はごく稀にしか見られないと言えます。
純然たる競技観戦と同時にこれらの選手間まで巻き込んでの企業戦争というものは注目と言えます。新商品の発表会、展示会になっていると批判が昨今出ているのが現状です。

まとめと東京五輪の成功への願い

東京五輪の成功への願い
五輪の商業化、プロ化の影響は大きく様々な場所で影響を残したと言えます。
特にピーター・ユベロスはこの五輪の商業化『ロサンゼルス方式』を高く評価され、メジャーリーグのコミッショナーにオリンピック後就任しました。そしてそこでも大胆な経営刷新を行い、メジャーリーグの大幅な黒字化に成功させました。
賛否両論はありますが、ユベロスがオリンピックに残した足跡は大きく、今ではスポーツとビジネス、そして各国における人気スポーツに占める放送権料は大きいものがあるといえます。
既に2012年のロンドンオリンピック前後からロサンゼルス方式はいまや時代遅れで成り立たないと言われてきましたが、この東京オリンピック2020でもロサンゼルス方式を踏襲した形で運営が行われています。
都知事が変わって以降、オリンピック施設に関しての建設費、予算の見直しで、紆余曲折が多々ありました。その中で注目したいのは『ネーミングライツ』を採用したり、大会終了後に施設を民間企業に払い下げるなどの工夫です。開催まであと1年程度ではありますが東京オリンピック2020が新たなオリンピックのビジネススタイルを生むことができるかは注目されるところです。

タイトルとURLをコピーしました